CEO Edition
篠原 麻衣氏のポートレート
CEO Edition 2023

Mai Shinohara

篠原 麻衣

CEO / ファブリコア

小規模工場、工程管理者、品質確認の担当者の会話から始まった問いを、工程変更の背景を引き継げる記録づくりへ育てる。ファブリコアの事業づくりを追う。

Year
2023
Role
CEO
Industry
製造工程ナレッジ共有
Tags
製造工程ナレッジ共有事業設計組織づくり

Profile Summary

Profile

篠原 麻衣氏が率いるファブリコアは、製造工程の申し送りと品質メモの共有ツールを通じて小規模工場、工程管理者、品質確認の担当者の実務を支えています。事業のきっかけは「工程変更の理由が次の担当者に十分伝わらない場面を見た」という経験でした。ファブリコアでは、課題を大きな言葉へ置き換える前に、どんな確認が繰り返され、どこで判断が止まるのかを見ます。そうした観察を、工程変更の背景を引き継げる記録づくりへつなげてきたリーダーです。

Company Focus

ファブリコアの事業は、小規模工場、工程管理者、品質確認の担当者が使う製造工程の申し送りと品質メモの共有ツールの設計と運用支援です。製造工程ナレッジ共有では例外的な対応が日常的に起こるため、画一的な標準化だけに頼らず、調整の余地を残した仕組みを目指しています。製造工程の申し送りと品質メモの共有ツールでは例外対応を隠さず、ファブリコアの次の判断材料として残せる仕組みを整えています。

Business Focus

工程変更の背景を引き継げる記録づくりを進めるにあたり、ファブリコアは製造工程の申し送りと品質メモの共有ツールの使われ方を細かく見直しています。小規模工場、工程管理者、品質確認の担当者が途中で立ち止まる箇所や、説明を補わなければならない場面を拾い、例外を消すのではなく、例外が生まれた理由を記録に残すことから改善を始めます。

Leadership Note

篠原 麻衣氏が組織運営で重視するのは、決定後の責任と次の確認者まで明らかにする運営です。導入時の評価だけで長期運用を判断しそうな場面では結論を急がず、誰にどんな負担が移るのかを確認します。反対意見も判断を遅らせるものではなく、前提を点検する材料として扱っています。

Interview

Q&A

Question 01

ファブリコアは、どんな違和感から始まったのでしょうか。

インタビュアー

はじめからこのツールの構想があったわけではないのですね。

篠原氏

ありませんでした。むしろ、工程変更の理由が次の担当者に十分伝わらない場面を見たという違和感が先にありました。現場の担当者が真面目に向き合っているのに、情報の残り方や伝わり方で余計な迷いが生まれていたんです。

インタビュアー

現場の努力だけでは解きにくい問題だった。

篠原氏

そう感じました。努力を増やすのではなく、判断の手前にある道筋を整える。ファブリコアでは、その発想から工程変更の背景を引き継げる記録づくりに取り組んでいます。

インタビュアー

ファブリコアにつながった違和感は、個人的なものだったのでしょうか?

篠原氏

最初は個人的な感覚でした。でも、製造工程ナレッジ共有の別の現場でも似た話を何度か聞いたんです。ファブリコアとして動き始めたのは、一人の困りごとではなく、仕事の進め方に残っている隙間だと思えたからです。

インタビュアー

このツールで埋める前に、隙間の形を見た。

篠原氏

そうですね。このツールで無理に埋めると、かえって窮屈になります。ファブリコアでは、まず隙間の形を見て、そこに合う方法を考えました。

Question 02

ファブリコアらしい開発の進め方を教えてください。

インタビュアー

現在の開発で、以前より強く意識していることはありますか?

篠原氏

足すことより削ることです。現場の担当者の現場では、選択肢が多いだけで判断が止まることがあります。このツールも、使う人が必要な順番で見られるかを優先しています。

インタビュアー

機能を絞ることも価値になる。

篠原氏

はい。工程変更の背景を引き継げる記録づくりに向かうには、複雑さを増やすのではなく、迷う場所を減らすことが必要です。

インタビュアー

ファブリコアでは、開発中に意見が割れることもありますか?

篠原氏

よくあります。このツールの機能が親切なのか、余計なお世話なのかは何度も話します。ファブリコアが現場の担当者に近づきすぎても重くなるので、その距離感は難しいですね。

インタビュアー

このツールは支えるが、使い方まで支配しない。

篠原氏

ええ。ファブリコアがそこを間違えると、現場の担当者の仕事らしさまで変えてしまいます。

Question 03

現場の担当者の声を、社内ではどう扱っていますか。

インタビュアー

ファブリコアのチーム文化をどう表現しますか?

篠原氏

派手ではありませんが、しぶといです。このツールの改善でも、一度出した案を磨き直すことを嫌がらない人が多い。

インタビュアー

粘り強さが文化になっている。

篠原氏

そうですね。工程変更の背景を引き継げる記録づくりは短距離走ではないので、地味な確認を続けられる組織でいたいと思っています。

インタビュアー

ファブリコアでメンバーに任せる時、気をつけていることはありますか?

篠原氏

結論だけ渡さないことです。ファブリコアでは、なぜそれをやるのか、このツールのどこは触らないのかまで共有します。ファブリコアがその背景を共有しなければ、仕事がただの作業になってしまいます。

インタビュアー

ファブリコアでは、仕事の背景も一緒に渡す。

篠原氏

そうです。ファブリコアでは、背景を持って動ける人を増やしたいですね。

Question 04

ファブリコアでは、早く進めたい気持ちと慎重に見る姿勢をどう両立していますか。

インタビュアー

判断の基準はチームにも共有していますか?

篠原氏

しています。ただ、標語のように覚えるものではなく、案件ごとに確認します。導入時の評価だけで長期運用を判断しそうなときは、特に言葉を省かないようにしています。

インタビュアー

省略しないことが大事なのですね。

篠原氏

はい。製造工程ナレッジ共有では、少しの省略が後の誤解につながることがあります。

インタビュアー

ファブリコアの判断で、感覚に頼ることはありますか?

篠原氏

あります。ただ、ファブリコアでは感覚だけで決めたとは言いません。このツールのどこに引っかかったのかを言葉にして、初めてチームで扱える判断になります。

インタビュアー

ファブリコアでは、勘を否定せず共有できる形にする。

篠原氏

はい。ファブリコアでは違和感を大事にしつつ、このツールの判断として人に渡せる言葉まで整えます。

Question 05

現場の担当者との関係は、これからどう変わっていきますか。

インタビュアー

今後、ファブリコアをどの方向へ進めたいですか?

篠原氏

工程変更の背景を引き継げる記録づくりを、特別なプロジェクトではなく日常の判断に近づけたいです。現場の担当者にとって、少し楽になったと感じられる場面を増やしたい。

インタビュアー

大きな変化より、実感を積み上げる。

篠原氏

そうですね。このツールも、その実感がなければ続きません。

インタビュアー

ファブリコアの次の挑戦には、楽しみな部分もありますか?

篠原氏

ありますよ(笑)。大変なことも多いですが、このツールによって現場の担当者の仕事がふっと軽くなる瞬間を見ると、やはり面白いです。

インタビュアー

このツールで仕事がふっと軽くなる瞬間。

篠原氏

そうです。ファブリコアにとっては、大きく変わったと言われるより、『今日ちょっと助かりました』のほうがうれしい時もあります。

Question 06

現場の担当者との会話で、忘れられない一言はありますか。

インタビュアー

ファブリコアの真面目な話が続きましたが、社内で笑うこともありますか?

篠原氏

ありますよ(笑)。このツールの名前や文言を決める時は、だいたい一度変な方向に行きます。ファブリコアのメンバー全員がまじめに考えているのに、妙に大げさな言葉が出てきたりして。

インタビュアー

ファブリコアのその会議は、見てみたいですね。

篠原氏

最終的には落ち着くんですけどね。このツールをめぐる寄り道があるから、固くなりすぎずに済んでいると思います。

Editor's Note

ファブリコアの取材では、工程変更の背景を引き継げる記録づくりを支える組織の会話と記録のあり方に注目しました。取材を通じて見えたのは、小規模工場、工程管理者、品質確認の担当者の仕事を外側から単純化せず、判断の背景まで理解しようとする姿勢でした。

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