
Shin Kawabata
川端 慎
Co-founder / CEO / ループクラフト
使える資材が管理しにくいという理由で眠っていたという経験を起点に、再利用を続けられる在庫と返却の設計へ向かう。ループクラフトが大切にする判断の手触り。
- Year
- 2022
- Role
- Co-founder / CEO
- Industry
- 資材循環・在庫再利用設計
- Tags
- 資材循環・在庫再利用設計事業設計組織づくり
Profile Summary
Profile
使える資材が管理しにくいという理由で眠っていた。川端 慎氏がループクラフトの事業を考える起点になったのは、この具体的な場面でした。資材の再利用履歴と在庫循環を整理する仕組みを設計する際も、店舗運営、施工管理、イベント運営の担当者の仕事を一律に置き換えるのではなく、既存の工夫を残しながら負担の大きい部分をほどく姿勢を取っています。言葉になっていない懸念を会議に持ち込める空気という組織運営にも、その考え方が表れています。
Company Focus
ループクラフトは、資材循環・在庫再利用設計の領域で資材の再利用履歴と在庫循環を整理する仕組みを提供しています。主な利用場面は店舗運営、施工管理、イベント運営の担当者の実務です。ループクラフトは導入時の分かりやすさだけでなく、担当者が変わった後も記録や判断が引き継がれることを重視しています。ループクラフトは、機能の多さより、確認や受け渡しが短くなることを価値として見ています。
Business Focus
再利用を続けられる在庫と返却の設計が、ループクラフトの現在のテーマです。資材の再利用履歴と在庫循環を整理する仕組みの利用前後で確認が増えていないか、特定の担当者だけに作業が寄っていないかを点検します。説明を受けなくても次の行動が分かる順番を優先するという考え方を、開発と運用の両方に反映しています。
Leadership Note
川端 慎氏が組織運営で重視するのは、言葉になっていない懸念を会議に持ち込める空気です。一部の要望だけで全体の手順を変えそうな場面では結論を急がず、誰にどんな負担が移るのかを確認します。反対意見も判断を遅らせるものではなく、前提を点検する材料として扱っています。
Interview
Q&A
Question 01
川端 慎氏が最初に「これは事業になる」と感じた瞬間はありましたか。
インタビュアー
ループクラフトの原点を一言でいうと何でしょう。
川端氏
『見えているのに扱われないもの』への関心です。使える資材が管理しにくいという理由で眠っていたという経験を振り返ると、現場の事業者はすでに多くのことに気づいていました。ただ、それを共有する形が弱かった。
インタビュアー
気づきを次の行動に移す形ですね。
川端氏
はい。この仕組みは、気づきを個人の感覚で終わらせず、次の人が使える状態にするためのものです。
インタビュアー
ループクラフトの創業時に、誰かの言葉で背中を押されたことはありますか?
川端氏
あります。現場の事業者の方に『これ、いつも自分の中で何となく処理していました』と言われたことです。この仕組みを考える間も、その『何となく』がずっと残りました。
インタビュアー
資材循環・在庫再利用設計には、まだ言葉になっていない仕事があった。
川端氏
ええ。この仕組みは、その何となくを責めるためではなく、少し楽に扱えるようにするためのものです。
Question 02
ループクラフトで、いま最も手を入れている部分はどこですか。
インタビュアー
いま一番見直している接点はどこでしょう。
川端氏
最初に触れる場面です。この仕組みは、使い込んだ後よりも、初回に『これは自分たちの話だ』と思えるかが大きい。現場の事業者の言葉に近い導入を磨いています。
インタビュアー
導入の瞬間を重視している。
川端氏
そうですね。再利用を続けられる在庫と返却の設計も、最初の一歩が重いと広がりません。入口の軽さと、後から深められる余地を両方残したいです。
インタビュアー
ループクラフトでは、開発中に意見が割れることもありますか?
川端氏
よくあります。この仕組みの機能が親切なのか、余計なお世話なのかは何度も話します。ループクラフトが現場の事業者に近づきすぎても重くなるので、その距離感は難しいですね。
インタビュアー
この仕組みは支えるが、使い方まで支配しない。
川端氏
ええ。ループクラフトがそこを間違えると、現場の事業者の仕事らしさまで変えてしまいます。
Question 03
資材循環・在庫再利用設計に向き合う組織として、何を育てていますか。
インタビュアー
社内で繰り返し話していることはありますか?
川端氏
言い切る前に戻れる場所を持とう、という話はよくします。この仕組みの議論でも、結論だけを急ぐと、現場の事業者が本当に困っている部分を見落とします。
インタビュアー
戻ることを弱さと見ない。
川端氏
そうです。戻れる組織のほうが、結果的に強い。言葉になっていない懸念を会議に持ち込める空気も、そのための態度だと思っています。
インタビュアー
ループクラフトのチームは、外からどのように見られますか?
川端氏
資材循環・在庫再利用設計の仕事としては慎重すぎると思われることがあります(笑)。ただ、ループクラフトでは、雑に速く進めるより後から理由を説明できることを大事にしています。
インタビュアー
ループクラフトでは、慎重さを弱点とは見ていない。
川端氏
そうです。遅いだけでは困りますが、この仕組みについて何を悩んだかが残っている仕事は、後から見直す時に強いんです。
Question 04
ループクラフトで「やらない」と決めるときの基準はありますか。
インタビュアー
判断を急がないほうがよい場面はありますか?
川端氏
あります。特に、誰がその後を拾うのかが曖昧なまま進むと危ない。一部の要望だけで全体の手順を変えそうなときほど、実行後の受け皿を確認します。
インタビュアー
決めた後の責任の置き場を見る。
川端氏
はい。再利用を続けられる在庫と返却の設計は前向きなテーマですが、受け皿がないと現場の負担になります。そこは慎重に見ています。
インタビュアー
ループクラフトの判断で、感覚に頼ることはありますか?
川端氏
あります。ただ、ループクラフトでは感覚だけで決めたとは言いません。この仕組みのどこに引っかかったのかを言葉にして、初めてチームで扱える判断になります。
インタビュアー
ループクラフトでは、勘を否定せず共有できる形にする。
川端氏
はい。ループクラフトでは違和感を大事にしつつ、この仕組みの判断として人に渡せる言葉まで整えます。
Question 05
ループクラフトが自然に使われる事業になるために、何が必要でしょうか。
インタビュアー
数年先に向けて、どんな状態を作りたいですか?
川端氏
ループクラフトが前に出すぎない状態です。現場の事業者が自然にこの仕組みを使い、自分たちの判断を更新できるようになっているのが理想です。
インタビュアー
道具が目立たないほうがよい。
川端氏
そう思います。再利用を続けられる在庫と返却の設計は、派手な言葉より日々の動きに残って初めて意味があります。
インタビュアー
ループクラフトが広がっていく中で、怖さはありますか?
川端氏
あります。ループクラフトが広がるほど、この仕組みの最初の手触りが薄くなる怖さがあります。だから、『使える資材が管理しにくいという理由で眠っていた』という原点の話は社内でも何度もします。
インタビュアー
ループクラフトの原点を共有し続ける。
川端氏
ええ。ループクラフトにとって原点は飾りではなく、迷った時に戻る場所です。
Question 06
ループクラフトの事業をめぐって、印象に残っているやりとりはありますか。
インタビュアー
ループクラフトの真面目な話が続きましたが、社内で笑うこともありますか?
川端氏
ありますよ(笑)。この仕組みの名前や文言を決める時は、だいたい一度変な方向に行きます。ループクラフトのメンバー全員がまじめに考えているのに、妙に大げさな言葉が出てきたりして。
インタビュアー
ループクラフトのその会議は、見てみたいですね。
川端氏
最終的には落ち着くんですけどね。この仕組みをめぐる寄り道があるから、固くなりすぎずに済んでいると思います。
Editor's Note
ループクラフトの取材では、再利用を続けられる在庫と返却の設計を支える組織の会話と記録のあり方に注目しました。使える資材が管理しにくいという理由で眠っていたという原点と、再利用を続けられる在庫と返却の設計という現在のテーマが、無理なく一本の線でつながるインタビューでした。
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